『解剖学と個体発生論』〜ブレヒシュミット博士の”発生学”〜

 

 

先日オンラインにて、ジャンポール・ヘプナー D.O. による『解剖学と個体発生論』を受講しました。

 

 

セミナーの内容は、20世紀のドイツで『個体発生論』を研究していた解剖学者ブレヒシュミット博士(Erich Blechschmidt)の研究と、ヘプナー先生ご自身が長年人体解剖をしてきた知見が融合されたものでした。

 

 

「発生学(個体発生論)」は一般的に知られた分野ではないと思いますが、「解剖学」を深く理解するための助けとなる学問です。

 

 

受精した1個の卵子(胚)がどうやって数十兆個の細胞の集まりである一人の人間になるのかを解明していくものです。

 

 

特に、ブレヒシュミット博士の「個体発生論」は、単なる細胞の観察というよりかは、何故そういう現象が起こるのかに焦点を当てて研究されている点がとても興味深いです。

 

 

論文や書物の大半がドイツ語で記載されており、正確に理解するためにはドイツ語が必須なのですが、講師のヘプナー先生はドイツ系のベルギー人ですのでドイツ語でブレヒシュミット博士の書物を研究されています。

 

 

加えて、ヘプナー先生はベルギーの大学の医学部で解剖学を学び、その後オステオパシーの大学で解剖学を深く掘り下げておられますので、オステオパシーを実践する上での解剖学と個体発生論を学ぶためには絶好の機会でした。

 

今回のセミナーでは、受精卵が卵割を繰り返して増えていく過程を、流体力学的な視点で説明されていました。

 

オステオパシーの理論の中では、「機能によって構造が形成される」と言われていますが、発生の初期段階においても胎内の生理機能によって人体が造られていく様子が理解できました。


セミナーの中で頻繁に出てきたドイツ語の『ゲシュタルト』という言葉が、ブレヒシュミット博士の発生学を理解するためには重要でした。この言葉に対応する英語は存在しないらしく、外国語で学ぶことの難しさを実感しました。英語やフランス語で行われる普段のセミナーも、通訳を介しても、微細なニュアンスは理解するのに苦労します。

 

今回の内容は、受精後2週目までの胚の詳細についてでした。次回は2023年1月開催予定で、主に神経と血管系の発生についての内容になります。また、その内容を報告させていただきます。